OBSで配信の音量バランスを整えるためにやっていること

マイク音声関連

今回の記事は配信における音量バランスの話です。 以前の記事では2PC配信の環境構築について書きましたが、今回はその環境の上でマイク音とゲーム音の音量バランスをどうやって管理しているのかについて書き残しておきます。

配信においてゲーム音とマイク音のバランスは超重要です。ゲーム音がデカすぎて喋りが聞こえないとか、逆に声ばかり目立ってゲーム音がよく聞き取れない・・・なんてことがあると視聴体験が一気に悪くなります。
じゃあそのバランスってどうやって測ればいいの?という話なんですが、僕はLUFSという単位を基準にして管理しています。

LUFSはLoudness Units Full Scaleの略で、人間が実際に感じる音の大きさ(ラウドネス)を数値化した単位です。普通のdBメーターだと瞬間的なピーク値しかわからないのに対して、LUFSは「人間の耳にどれくらいの大きさで聞こえているか」を測ってくれます。

LUFSについてより詳しく知りたい方はこちらの記事などが参考になると思います。

※2026/07/20更新:
「ゲーム音:Blue Cat’s PatchWork経由でVST3プラグインを利用」の項目内にサイドチェインコンプレッサーについて記述を追加しました。

※2026/02/28更新:
ゲーム音とマイク音の信号フローを図解するように変更しました。


使用しているツール

今回の記事で登場するツール・プラグインは以下の通りです。

・Youlean Loudness Meter 2(Free版)
LUFS値をリアルタイムで表示してくれるVSTプラグイン

・Nectar 4(Standard版)
iZotope製のボーカルプロセッシングスイート。マイク音の加工とゲーム音のリミッタとして利用。たまにものすごい激安セールをやってる

・Blue Cat’s PatchWork (Free版)
VST3プラグインをOBS上で動かすためのブリッジとして利用

・Cantabile Lite
無料のVSTホストアプリ。マイク音声にVSTプラグインを適用するために利用

・VoiceMeeter Banana
仮想音声ミキサー。Cantabile Liteで処理した音声をOBSに渡すために利用

各ツールの導入方法については本記事では割愛します。全て導入済みの前提で進めます。


音量管理の基本方針

配信中の音量管理にYoulean Loudness Meter 2のSHORT TERM値を基準に使っています。 SHORT TERMは直近3秒間の平均ラウドネスを表示してくれる値で、リアルタイムに変動する音量を把握するのに丁度いい指標です。

僕が目安にしている値はこんな感じで・・・

・ゲーム音:SHORT TERM -25〜-23 LUFS
・マイク音:SHORT TERM -17〜-13 LUFS

マイク音をゲーム音より8~10dBほど大きく設定することで、喋りがゲーム音に埋もれずにちゃんと聞こえる状態を作っています。

実際に音響設定をどうしているのか?

マイク音とゲーム音でそれぞれ信号の流れが異なります。ソフトを複数噛ませていますが大体こんな感じです。

ゲーム音の信号フロー

ゲーム音(映像キャプチャデバイス経由) → OBS → Nectar 4(Blue Cat’s PatchWork経由・リミッタとして利用)→ Youlean Loudness Meter 2(VSTフィルタ)

flowchart TD
    A["ゲーム音(映像キャプチャデバイス経由)"] --> B1
    subgraph OBS_env["OBS Studio内"]
        B1["Nectar 4(Blue Cat's PatchWork経由・リミッタ)"] --> B2["Youlean Loudness Meter 2(VSTフィルタ)"]
    end

ゲーム音は事前に何も通さず、そのままOBSに取り込んでいます。OBS上のフィルタチェインでNectar 4のリミッタ機能を使って音量の上限をキャップしたうえで、Youlean Loudness Meter 2でLUFS値を確認しています。

マイク音の信号フロー

オーディオインターフェイス~OBSまで:

graph TD
    subgraph "Cantabile Lite"
        B1["RX10 Voice De-noise"] --> B2["Nectar 4"]
    end
    subgraph "OBS Studio"
        D1["OBS(音声入力キャプチャ)"] --> D2["Youlean Loudness Meter 2(VSTフィルタ)"]
    end
    A["マイク"] --> B1
    B2 --> C["VoiceMeeter Banana"]
    C --> D1

マイク → Cantabile Lite(RX10 Voice De-noise → Nectar 4)→ VoiceMeeter Banana → OBS(音声入力キャプチャ)

OBS内のフィルタ:

OBS(音声入力キャプチャ)→ Youlean Loudness Meter 2(VSTフィルタ)

マイク音はOBSに乗せる前にCantabile Liteを経由して、VSTプラグインによる処理を済ませた状態でOBSに入力しています。

OBS側のフィルタではなくCantabile Liteで処理している理由は、VSTプラグインを通した後のマイク音をOBS以外のアプリケーション(Discordなど)でもそのまま使いたいからです。Cantabile LiteからVoiceMeeter Bananaに出力しておけば、VoiceMeeter Bananaの出力先を各アプリケーションで参照するだけで、同じ音質のマイク音を共有できます。

OBSに入った後はYoulean Loudness Meter 2をVSTプラグインフィルタとして追加して、LUFS値をモニタリングしています。


ゲーム音:Blue Cat’s PatchWork経由でVST3プラグインを利用

ここで一つ注意点があります。 OBS Studio自身はVST 2.xプラグインにしか対応していません。Youlean Loudness Meter 2はVST2形式が提供されているためそのままOBSのフィルタとして読み込めますが、Nectar 4はVST3形式のみでの提供です。

そこでBlue Cat’s PatchWorkをブリッジとして使います。Blue Cat’s PatchWorkはVST2形式のプラグインホストなのでOBSのフィルタとして読み込むことができ、その中でVST3プラグインであるNectar 4をロードすることでOBS上でNectar 4を動作させることができます。

参考リンク:
Blue Cat Audio『Blue Cat’s PatchWork』ラッパーやFXチェーンの格納に使える便利ツール

OBSのフィルタ設定画面では以下のように並べています。

ゲーム音(映像キャプチャデバイス)のOBSフィルタ構成:

ゲーム音はマイク音と違って事前の加工は一切していません。映像キャプチャデバイスから取り込んだ音声をそのままOBSに乗せています。

ただしゲーム音は場面によって音量の振れ幅が大きい(静かなシーンと爆発音みたいな場面の差がすごい)ので、Nectar 4のリミッタ機能を使って音量の上限をキャップしています。

BC PatchWork経由で起動したNectar 4の設定はこんな感じです。

ここでのポイントは、Nectar 4は本来ボーカル用のプラグインですが、リミッタ機能だけを目当てに使っているという点です。EQやCompressorのモジュールも有効にはしていますが、主目的はあくまでLimiterによる音量の天井設定です。ゲーム音が急に大きくなっても一定以上の音量にならないようにキャップすることで、視聴者が不快にならない範囲に収めています。

※マイク音を検知してゲーム音を自動的に下げることが出来る「サイドチェインコンプレッサー」の設定方法について新しく記事を起こしました。こちらもどうぞ!

マイク音とゲーム音のバランスに悩んだ結果サイドチェインコンプレッサーを使った話


マイク音:Cantabile LiteでVSTプラグインを適用

マイク音はOBSに入る前にCantabile Liteで以下のVSTプラグインを通しています。

Cantabile Liteの設定例
Cantabile Liteの設定例

1. iZotope RX10 Voice De-noise

まず最初にノイズ除去です。RX10 Voice De-noiseを使って環境ノイズを除去しています。マイクが拾ってしまうエアコンの音やPC動作音などをここで処理しています。設定値はLearn機能で取得したものをそのまま使っているだけなので割愛します。

2. Nectar 4(マイク音用の設定)

ノイズ除去後の音声にNectar 4を適用しています。

Nectar4の設定構成

EQ 1では全てBell型でポイントを打っています。具体的には以下のような調整をしています。

Cantabile Liteで設定しているNectar4の設定:EQ設定
Cantabile Liteで設定しているNectar4の設定:EQ設定

・60Hz以下をカット(低域のゴロゴロした不要な音を除去)
・247Hz付近を+1.6dB(声の低域に厚みを持たせる)
・2.5kHz付近を+1.7dB(声の子音の明瞭さ・抜けを良くする)
・高音域は+1.2dBほど稼いだ状態で、グラフが傾斜しないようにポイントを配置

低域をカットしつつ中域と高域を少し持ち上げることで、声がクリアに聞こえるようなカーブを作っています。

Compressor 1はこんな感じ。

Cantabile Liteで設定しているNectar4の設定:コンプレッサー設定
Cantabile Liteで設定しているNectar4の設定:コンプレッサー設定

加えてNectar4内でLimiterもオンにすることで、コンプレッサーを通過した後の音量も一定以上出ないように設定しています。

Cantabile Liteで処理された音声はVoiceMeeter Bananaを経由してOBSへと渡されます。

マイク音(音声入力キャプチャ)のOBSフィルタ構成:

マイク音側はCantabile Liteで処理済みの音声が入ってくるため、OBS上ではYoulean Loudness Meter 2のみを追加しています。


Youlean Loudness Meter 2の使い方

Youlean Loudness Meter 2はVST2形式が提供されているため、OBSのフィルタとしてそのまま読み込むことができます。

Youlean Loudness Meter 2のOBSへのセットアップ方法は以下の記事に詳しい情報が掲載されています:
手軽にラウドネス測定 〜OBS+Youlean Loudness Meterの活用紹介〜

フィルタチェインにおける配置

Youlean Loudness Meter 2は音声を加工するプラグインではなく、あくまで計測用のプラグインです。音声信号をそのまま通過させつつLUFS値を表示してくれるだけなので、フィルタチェインの一番最後に配置します。こうすることで、Nectar 4などで加工した後の最終的な音量を正確にモニタリングできます。

配信中の見方

僕が主に見ているのはSHORT TERMの値です。配信中はこの値を横目で確認しながら、ゲーム音が-25〜-23 LUFS、マイク音が-17〜-15 LUFSの範囲に収まっているかをチェックしています。

マイク音の測定例
マイク音の測定例

ゲームのジャンルやシーンによってゲーム音の出方は全然変わるので、あくまでこの数値は目安です。大事なのはSHORT TERM(LUFS)で見たときにマイク音とゲーム音の差が概ね8dB~10dB前後になっていることで、この差が保たれていれば喋りがゲーム音に埋もれにくくなります。なお、OBSのdBメーター(ピーク値)基準で語られるガイドでは10〜20dB差を推奨するものが多いですが、LUFSは聴感ベースの指標のためピーク値より差が小さく出る傾向があります。


おわりに

まとめ

音量バランスの管理は地味な作業ですが、配信のクオリティに直結する部分です。特にゲーム配信だとゲーム音の音量が場面ごとに激しく変わるので、リミッタでキャップしつつLUFSベースでモニタリングするというやり方はなかなか安定します。
今回紹介した方法はあくまで僕個人のやり方で、最適解かどうかは正直わかりません。ただ、LUFS値を基準にすることで「なんとなく」ではなく数値で判断できるようになったのは大きいと感じています。

そんなわけで今回も個人的な備忘録を兼ねて音量バランスの設定について書かせていただきました。 この記事がこれから配信の音量調整をしようとしている方への一助になれば幸いです。

おまけ

この記事の草稿は試験的にclaudeに書かせてみました。生成物を自分で手直しして公開しています。スクショも自動で撮影してくれないかな(無茶)

将来的にはclaude codeを使ってブログ記事を書いて貰ったりしたいです!課金額がこわいけど!

書いた人の宣伝

書いた人はすかー(bwscar221)さんです!
詳しいところの紹介は自己紹介の記事を出してます。そっちも読んでね🙇‍♂️

自己紹介とこのコンテンツの方針

普段はYoutubeとTwitchで配信をしてます!よろしければ配信もご覧になってください!

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